昨今の配信界隈を席捲しているといってもよいVTuber。企業所属・個人問わず、現在でも日々新たなVTuberがデビューしています。一方有名VTuberの転生が話題になったり、デビューした新人VTuberが転生の姿だったりします。今回はVTuberの転生や大手事務所からの卒業について自分なりにまとめようと思います。
VTuber用語:「転生」と「前世」について
本記事を読む方の多くは、すでにご存じかと思いますが、念のため用語の説明します。
(ご存じの方は飛ばしてください。)
魂:現在主流のVTuberは、裏に「生身の人間(演者)」が存在します。その本人のことを指す用語。
ガワ:VTuberとして使用する外見のこと。VTuverとしての姿であり、ある意味本体。Live2Dや3Dのアニメ調のデザインであることが多い。
転生:魂が演じる「VTuberのガワ」を変更すること。
(場合によっては事務所移籍などを指すこともある)
前世:転生したVTuberの「魂」がそれ以前に、演じていた(使用していた)VTuberのこと。
(VTuberではない活動は、一般的には前世と呼ばれない。同じ魂が「VTuber(a)→VTuber(b)」と側を変更した際に使用される)
ちなみに
一般的に前世や転生の話題は、表立って触れることは推奨されません。
本人の配信やコミュニティでは、話題に出さないようにしましょう。
VTuberはなぜ転生するのか?その理由
ここからが本題です。
なぜVTuberは転生するのか?
考えられる理由を以下に示します。
※以降で「企業所属」という表現を使用していますが、正社員とかそういう意味ではありません。
「企業と契約し、活動(中の人)をしているVTuber」程度の意味と解釈してください。
ガワを変ええるため(別VTuberとしてやり直すため)
この場合、魂の「気持ち(気分)」で実施されます。
VTuberには、様々な容姿・設定などがあります。
(例えば、犬、猫、悪魔、天使、先生、メイドetc)
そこで個性を発揮できるかも、人気を出すために必要な要素の1つです。
しかし、いざ活動を初めて「このガワ、受けが悪いのかな…」、「この設定、トークの話題が狭まるな…」など感じることはあるでしょう。
特に個人VTuberの場合、初配信で注目してもらえるかは大事なポイントなので、その意味でもガワ・設定を変え、初配信(デビュー)を何度かしている方もいるでしょう。
(VTuberの視聴層には常に面白そうな新人がいないか、様々なデビュー配信をチェックしている層がいます)。
ただしガワを作るのにはお金と時間が必要なので、ある程度余裕がないとガワの変更はできないでしょう。
しかも新たなガワ・設定が人気でるとは限らないので…
ということで、魂自身が強く路線変更をしたくなった際にする「転生」が、このパターンになります。
ステップアップのため
この場合が現状で最も一般的な「転生」でしょう。
主に以下の2パターンがあります。
- 個人VTuber → 企業VTuber(大手事務所)
- 企業VTuber → 企業VTuber(大手事務所)
個人または小さい事務所で活動していたVTuberの「魂」が、事務所(企業)の面接に合格し、大きな事務所(企業)所属VTuberとなる場合です。
分かりやすく言えば、ステップアップを目指した転職です。
現VTuber業界は、ホロライブプロダクションやにじさんじといった大手事務所に所属することが良いとされています。
理由は、注目度が段違い(収益が良い)、VTuber同士で絡めるのでコラボしやすい、活動の幅が広がる(案件、グッズ)など様々。
多くのVTuberが、日々の活動の裏で大手事務所の面接に応募を出しているのが現状でしょう。
そして採用された場合、「転生」となります。
基本的に企業VTuberのガワは企業側が用意するため、個人時代に使用していたガワは使用できません。
ということで別企業に採用された場合、転生となります。
(あくまで現状の話で、今後ガワごと企業が採用する流れになる可能性もあります。ただし多くのVTuber事務所はIPビジネスをしているので、その際ガワの所有権や報酬の取り分で揉めないためにも現在のような状態は続く可能性は高いです)
企業所属VTuberから個人VTuberになる
こちらには以下のような2パターンがあります。
- 規約違反で事務所を契約解除になった企業所属VTuberが、個人VTuberになる
- 事務所を卒業した企業所属VTuberが、個人VTuberになる
現状多いのは、契約解除になったVTuberが個人VTuberに転生するパターンです。
契約解除の理由は様々ですが、よくあるのは配信・Xで不適切な表現を使用した、秘匿な情報を第三者に提供した、などです。
事務所から契約解除されたVTuberのガワは、もうそれっきりです。配信チャンネルなども閉鎖されます。
次にもう一方の卒業したVTuberが個人VTuberになるパターンについてです。
こちらも転生に該当します。
理由は上でも述べた通り、現状VTuberのガワは「企業のもの」だからです。
しかし契約解除のパターンとは異なり、配信チャンネルなどは閉鎖されずに過去の活動を見ることができるのが一般的です(もちろん更新はありませんが)。
こちらのパターンはまだ少ないです。
理由はやはりVTuberは企業・事務所に所属するメリットが大きいからです。
しかし事務所や企業には方針や立場があるので、個人VTuberより活動の自由度が低く、それが原因で卒業を選択するVTuberも稀にいます。
今後大手VTuberの転生は増えるのか?
2024/8に大手VTuber事務所ホロライブから「湊あくあ」さんが卒業し、魂は個人VTuberとしての活動を再開しました。
卒業理由や背景などはここでは触れませんが、業界的には大きな衝撃を受けたことでしょう。
なぜなら多くのVTuberが憧れる大手事務所に所属する人気VTuberという盤石な立ち位置を手放し、個人VTuberになる選択をしたからです。
ここで考えたいことは、「大手事務所(企業)で成功したVTuberは所属し続けるメリットがどれだけあるのか?」ということです。
(もちろん事務的なことや日程調整などは、事務所マネージャがしてくれるので楽とかありますが、そういう話ではないです)
昨今のVTuber活動は、配信(ゲーム、雑談)や歌が中心です。
ゲーム配信は容易ですが、音楽活動となると基本的には外部に協力・依頼します。
また活動するために必要な、ガワ、配信素材(背景やイラスト)ですが、こちらも外部に依頼します。
上記を依頼するために必要な要素が主に2つあります。
それは、お金と人脈(つて)です。
この両方を自分一人で揃えることは至難です。特に人脈。
しかし一度人気を獲得したVTuberは、両方を手にしています。
特に事務所に所属していた場合、より一層強い人脈を手に入れるでしょう。
この2つを手にした企業VTuberは、恐れることなく個人VTuberに転生することができるでしょう。
しかし現在は、その流れは非常に少ないです。
主な理由は以下の2だと私は考えます。
- 前例が少ないので、どうなるのか分からない。
- 事務所にいる方が仲間も多いので仕事・コラボがしやすい。
しかし今後、大手事務所から脱退(卒業)した個人VTuberが徐々に増えていくと、そのうちそういったコミュニティ(連合)が形成されると思います。
前世(大手事務所 所属時代)では、事務所の都合で自由にできなかったことも、他の事務所を卒業した人気VTuberと一緒にできたりします。
大手事務所で時代を気付いた人気者たちが集う、夢にみたコラボが実現する可能性を秘めています。
事務所による制限もそうですが、事務所による壁がないのも個人の魅力でしょう。
大手事務所から卒業し、個人VTuberへ転生・活動再開の成功例が増えると、この流れも増えると予想します。
さいごに
今回はVTuberの転生についてまとめてみました。
VTuberは、通常の人生・職業と違い、「転生」という概念が興味深いですね。
車にはねられて、転生したVtuberもいるのでしょうか?
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