私はテニスでのイップスを現在進行形で付き合っています。長年色々考えさせられていますが、現在は上手いこと付き合って、ある程度改善した状態です。今回はイップスに関する経験や自分なりの向き合い方を紹介できたらと思います。もしテニス以外でもイップスにい悩んでいる方、イップスの症状を知りたい方向けの内容となっています。
イップス(yips)とは
日本イップス協会のサイトには、以下のように説明されています(一部抜粋)。
イップス(イップス症状)は心の葛藤(意識、無意識)により、筋肉や神経細胞、脳細胞にまで影響を及ぼす心理的症状です。スポーツ(野球、ゴルフ、卓球、テニス、サッカー、ダーツ、楽器等)の集中すべき場面で、プレッシャーにより極度に緊張を生じ、無意識に筋肉の硬化を起こし、思い通りのパフォーマンスを発揮できない症状をいいます。
上記の説明ではイップスを経験したことない人には難しいですが、冷静に自分に起こった症状を思い出して分析するとこの説明は正しいと思います。
そもそもイップスを経験したことない人にその症状を説明するのは非常に難しいですが。
イップスの存在が一般的に有名なのは野球の投球・送球かと思います。またイップスという名前が付く前から広くその存在が知られていたのはゴルフ界隈だそうです。
個人的にイップスを知らない人(=なったことない人)に対して理解してもらいたいのは、いわゆる「下手」であったり、純粋な「本番に弱い」とは違います。
また技術的な要素ではなく、精神的な要素だと私は思います。
(つまりたくさん練習しても気持ちが変わらないと一生治らない)
個人的なイップスへの理解としては、「プレッシャーや緊張による精神的な事故(突発・一時的な不安)による後遺症として、特定の行動をしようとすると動作がぎこちなくなること」です。
私のイップス体験談と症状
私はテニスのフォアハンドでなりました。
ちなみに私のテニス歴は中・高は部活、社会人は趣味でやっています。イップスを自覚したのは中学2年生で、高校生のころにその名称を知りました。
他のショット(バックハンド、サーブなど)では症状は一切なく、今後もなる予感は全くないです。
精神(心)は1つなのに、特定のショットでのみ発症するのはイップスの不思議なところですね。
はっきりしたきっかけは今や不明ですが、おそらく学校の代表として団体戦に出場してその中での緊張で違和感を感じた記憶があるのそれかと思います。
団体戦は観客が多いですからね・・・
症状の詳細としては以下の通り。
- ボールに追いつきスタンス(足の配置)ができた後、力が抜けるような感覚になりどうすればよいか分からなくなる
フォアハンドの高い打点が打てない(力めない) - 打つ直前に変にラケット面が上を向いてしまいホームラン性の球を打ってしまう
一度発症してから、この本の改善方法(後述)を知るまでは全く改善に向かうことはなかったです。
ただ有名校の格上と大会で当たった際には、純粋に試合に集中できて症状がなくなることもありました。この状態に意識的に持っていければ良かったのですが、それはできなかったです。
イップスやその症状にありがちなこと
自分の経験と調べた情報をもとに自分なりのイップスの分析結果を以下に示します。
同じ動作を繰り返し練習する分野で発症しやすい
イップスは、経験値がない動作ではならないと思います。
例えばテニスを始めた人が1ヶ月たくさん練習しても発症することはまずないと思います。
また繰り返し練習するということは、自分の形(フォーム)を手に入れたり、狙いを定めることが求められるからです。
繰り返し練習すると無意識でできるようになりますが、これがある意味イップスの0歩目と私は思います(発症するかは別の話)。
ある日突然「どうやってたっけ?」という疑問・不安を体が検知し、動作がぎこちなくなります。
(きっかけは緊張やプレッシャーが多いようです)
「身に着けて無意識でできるようになった」という礎があって初めて発症できます。
考える時間がある場面で発症しやすい
イップスの症状が発生するのには「マイナスなことを考える時間」が必要だと考えています。
マイナスな事とは以下のようなことです。
- テニス:ネットに掛からないかな?アウトにならないかな?
- 野球 :ちゃんと1塁手に投げないと。ストライクに入れないと。
マイナスな事を考えると「どうやってたっけ?」と一瞬体が緊張しそれ以降の動作がおかしくなります。
ではスポーツにおいて、(マイナスなことを)考える時間がある状況とはどんな状況でしょうか?
それは簡単なことをするとき、プレーを開始・再開するときです。
テニスでは緩い球が来たとき、野球では平凡な内野ゴロからの送球や投手の投球が発症しやすいと思います。
逆に余裕がなく必死なプレーの時は「考える時間」がなく一連の動きとして消化されるので発症しにくいです。
素振りやイメージは完璧でも本番環境になると動作が崩壊する
これもまた不思議に思えるでしょう。
上でも記載したようにイップスを発症するには経験値が必要です。逆に言うと発症する人にはある程度の経験値があり、自分のフォームとイメージ(理想)を持っています。
いざボールを用いて本番に近い環境でやろうとすると、
- 理想通りやらねば
- 失敗はできない
ということを考えすぎてしまい、動作がおかしくなります。
力の制御ができない
様々なスポーツで力の強さを制御する必要があります。
打つ球の速さ、投げる球の速さなどなど。
普通は0~100%をおおよそ1%刻みで制御できますが、
イップスになると、0、40、90、100%といった感じで刻みが非常に大きくなります。
また厄介なのはその刻みが不均一なことです。私の場合は50~80%くらいで打つことが難しいです。
遊びでも本番でも80%くらいのショットが一番必要なのにそのあたりは打てなかったです。
自分の改善方法・治し方
現状、完治とまでは至っていませんが、だいぶ改善された自覚があります。
自分の場合、最も大きな要因は「考える時間があること」だと何となく自覚していました。
速いボールや難しいボールを走って打ち返す際には必死で全く症状が出ないことはイップスとの長い付き合いで分かってたので。
では遅い球が来たときに、ボールを待つ時間(=考える時間)がどうしても発生してしまいますがどうすればよいのか?
「それは別のことを考える」です。
無意識でいるとマイナスなことを考えてしまい、イップスの症状が出てくる可能性が高くなってしまいますので、そうならないように別のことを考えます。
私はこちらの本で紹介されている、バウンドに合わせて独り言を言う方法で症状が改善されました。
こちらの本はイップスとの向き合い方も紹介されており、読むと精神的な面で荷が下りるような感覚になり、イップスに対して前向き気持ちになれるのでおススメです。
なかなか完治は難しいイップスですが、好きなスポーツは続けたいので状況を受け入れて楽しみたいですね。
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