昨今話題のVTuber。今では日本国内外に多くの運営事務所が存在します。比較的新しいこの概念を用いたビジネスは今後どのように発展していくのか自分なりに考察してみました。登場当初は、双方向にコミュニケーションが取れるアニメキャラ的な位置づけとされ、実世界のタレント・アイドルのファンになるより魅力があるという意見も多かったようですが、実際のところどうなのかというのを自分なりに考察してみました。
VTuberとその事務所について
簡単に説明すると、自身の素顔ではなく、キャラクターになりきって配信活動する活動者(またその職業)のことです。
詳しくは前回記事を参照してください。
(以下リンク)
VTuber事務所で有名どころは、国内に4~5つほどあります(個人的な見解)。
また小さめの事務所も含めれば無数にあります。
日本の事務所(企業)とはいえ、大きい事務所の場合は英語話者のVTuberも多く所属しています。
(30~40%ほどかな)
配信活動に国境はないですからね。
海外企業の事務所もあります。東アジア・東南アジア、北米、ヨーロッパが比較的多いです。
ただ海外ではVTuber文化日本ほど発展していません。それゆえか日本の事務所で活動したい海外VTuber(なりたい人)が多い印象を受けます。
流石オタク文化の国、ニッポン!
VTuberを活用したビジネスの種類
さてVTuberを活用したビジネスの話になります。
現状VTuberを活用した基本的なビジネスは以下が上げられます。
- 配信活動(ゲーム、雑談、歌など)
- 音楽活動(ライブ、楽曲のリリースなど)
- VTuberを活用した二次創作(マンガ、アニメ、ゲームなど)
- グッズ販売(フィギュア、アクリルスタンド、ボイスなど)
これらは、VTuber事務所単体で完結するものになります(作業などの外注依頼はあります)。
また外部とのコラボビジネスとしては以下のようなビジネスがあります。
- 商品紹介の配信・動画(ゲーム、施設、食品など)
- 商品の販促(食品などのパッケージにVTuberを添えるなど)
- イベント(観光地・水族館など)
こちらはVTuber事務所単体で完結のではなく、外部からの依頼を受けて(または外部に依頼を持ち掛けて)相乗効果を生み出すビジネスとなります。
外部とのコラボビジネスは、事務所や活動者としてのブランド力が求められるので個人で活動している方にはハードルが高く、逆に言えば事務所に所属するメリットともいえるでしょう。
VTuberビジネスの特徴
リアルタレント・キャラクターとの共通点と違い
VTuberを、リアルタレント(芸能人)、アニメキャラクター(マンガなども含む)と比較します。
アニメキャラクターより素早く話題提供ができる
アニメなどのいわゆるキャラクターは、それを作成する労力・時間が必要です。
(アニメーションの作成、セリフの吹込みといった作業)
つまり事前の準備(打合せ)に加えて、作成するフェーズがあります。
逆にVTuberやリアルタレントはそのフェーズをスキップできるため、情報を発信するまでの時間が短く、タイムリーな情報を提供できたり、捌ける案件数も多いでしょう。
(もちろんVTuber活動に必要なLive2D・3Dモデルは事前に必要です)
以上の理由から、VTuberは他キャラクタービジネスに比較して素早く案件対応できる点が強みと言えます。
手軽に対応できれば、天気予報やニュースなどの日々消費される要素にも対応できそうですね。
アニメキャラクターにはできない双方向の交流
VTuberが流行った理由の1つと思いますが、VTuberは双方向のやり取り(会話)が可能です。
アニメ含む他のキャラクターでは不可能ですよね。
事務所は、ファンがVTuberと会話できるイベントを開催することも可能です。
リアルタレントもこのようなイベントが可能(もっと言えば握手も可能)ですが、タレント側の負荷を考えれば、VTuber側が勝るポイントもあるかと思います。
歳をとらないため長い現役期間を期待できる
こちらはリアルタレントと比較した場合の、VTuber(とキャラクター)のメリットになります。
ビジネス的な観点で言えば、事務所が育て上げたタレントが長く現役でいることは非常に重要です。
リアルタレントのタイプにもよりますが、年齢を重ねるとともに周りの期待と自分のやりたいことの乖離が大きくなったり、若い別のタレントに人気・ポジションを取られるなどは日常茶飯事です。
その点、VTuber・キャラクターは、ずっと同じポジション(学生、ヒーロー、アイドルなど)を維持できるため一度地位を確立すると強いです。
ただし、VTuberと言えど純粋なキャラクターの現役の長さにはかないませんが。。。
(マリオやドラえもん、キティちゃんなどは本当に長い期間愛されてます)
アニメ・ゲームや漫画に違和感なく出演しやすい、グッズ化しやすい
こちらもリアルタレントの比較になります。
以下理由からVTuberは、アニメ・ゲーム、マンガにリアルのタレントより違和感なく出演できるポイントがあります。
- 外見の個性が強い
- ファンタジー的な要素(設定)を持つことが多い
人気のあるゲームに出演、または運営がゲームを作成することが可能です。
また見た目も個性があるので、グッズ展開もしやすいです。
VTuberビジネスの難しい点
本記事の本質とも言える部分になります。
昨今のVTuberやその事務所を見ていると、やはり運営は結構難しいのだなぁと感じます。
主な理由は、タレントの急な活動終了です。
もちろんリアルタレントでもあります。
(マンガやアニメのキャラクターに活動停止はないですね)
しかしリアルタレントは、悪い噂や体調不良(重い病気)は何となく世に出回るので、「そういう人なのかな?」というのが察しやすいです。
しかしVTuberは仕組み上、ファンから素性・素顔がほぼ分からないので、体感的に「より突発的に」活動停止をします。
(逆に体調不良は良い意味でもごまかせるのがVTuberのメリットかもしれませんが)
特に不祥事による活動終了がビジネス面でダメージが大きいです。
当たり前ですが運営も予測は不可能なので・・・
そのせいで、上で述べたゲームや漫画に出演しやすいというメリットに対して、かなり慎重にならざるを得ず、そのメリットをあまり活かしきれてないのが現状です。
もし出演停止になった場合、発生するマイナス事項は以下の通り。
- コラボ出演には莫大な時間と労力がかかっているのでその補填
- 作品(アニメやゲーム)そのものに影響があった場合は、ストーリーや対戦バランスの調整などただの出演停止では済まない
上記のデメリットはVTuber特有ではないですが、リアルタレントと比較してダメージが大きいです。
理由は単純で、VTuberは本人を含むコンテンツの商売なので、グッズや創作(歌、イラスト)に関するプランが常に裏で大量に進行しているからです。
それらが全て無駄になるのでタレントが急に活動停止することは、リアルタレントと比較して相対的にダメージも大きいのです。
VTuber事務所は、VTuberならではのビジネス展開を進めたいですが、それと同時に万が一の大きなリスクが見え隠れするため、判断が難しい状況もあるように私は思います。
芸能界にも言えますが、若くしてデビューしたり社会経験が少ないと純粋に耐性や社会的な常識が欠けている人も含まれる可能性が高い点が悩ましいですね。
さいごに
今回はVTuberビジネスについての考察をしてみました。
配信周りには強く、どこからでも仕事ができる反面、タレントの突発的な活動停止に伴うダメージも大きいのが難しいVTuberビジネス。
長期的に安定した活動をしてくれる人をデビューさせるかが今後重要視されると思います。
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